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親の終活を考える!亡くなった後の手続きや必要書類について

2023/10/21

親が亡くなることはとても寂しいことですが、その時から残された家族はしなければらないことに追われることになります。もし、親が「終活」の準備をきちんと、もしくは少しでもしてくれていると残された遺族は精神的にも作業的にもとても気持ちが楽になります。そして大切な親の願いを叶えた「終わり方」を進めることができます。そして相続などで揉めることを抑えることができるでしょう。

でも、残念なことに「終活」の大切さを知っていても、死というものを身近に感じられなかったり、縁起でもないことと積極的に取り組めなかったりするのが現実です。

まずあなたが「終活」準備の大切さを確認していただくことと合わせて、亡くなった後の手続きや必要書類について知ってください。そしてご両親にもこの記事を読んでいただくなどして、「終活」の準備を薦めてもらえたらと思います。

亡くなったあとの手続きや必要書類について

少し前までは、三世帯、四世帯の同居も多くみられていましたが、最近は核家族化・少子高齢化により、夫婦一世帯・単身世帯が増え、親族・家族の中で「死」や「看取り」を経験することが少なくなっています。また近所の方々のお手伝いも減り、様々な手続きについて「教えてもらう」機会や経験もなく親の死によってはじめて体験することになります。

親が死んだその瞬間から、悲しさや辛さを抱えながらも、しなければならないことに追われます。いざ、その時に初めて知るのではなく、少しでも事前に必要なことを確認し準備をしておけば落ち着いて行動できるでしょう。

死後・葬儀後に行う手続き

死亡届を市町村役場に提出すると、これからしなければならないことの書類や提出期限などを書いた用紙が手渡されます。
忙しい中ですが、書類を確認しながら一つ一つ取り組んでいきましょう。

以下、手続きについて代表的なものをまとめてみました。

7日または14日以内

  • 医師に死亡診断書(死体検案書)を書いてもらい、受け取る。(7日以内)
  • 死亡届・火葬許可証交付申請書を提出する。(7日以内)
  • 年金受給者死亡届の提出(国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内)
  • 国民年金保険資格喪失届、後期高齢者医療資格喪失届、介護保険資格喪失届、世帯主変更届の提出(14日以内)
    ※健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届は通常勤務先が事務処理をしてくれます。

一か月以内

  • 個人事業の開業・廃業等届出書の提出

三か月~四か月以内

  • 遺言書の有無の確認、相続人と相続分の確認
  • 相続破棄の申し立て
  • 遺産分割協議、遺産分割協議書の作成など
  • 故人の所得税準確定申告

十か月以内

  • 相続税の申告・納付

一年以内

  • 遺留分侵害額請求の申し立て

二年以内

  • 葬祭費・埋葬料支給の申請
  • 高額療養費の一部払い戻し手続き
  • 死亡一時金請求の手続き

遺産相続に関して

前項において紹介した手続きの中で、一番大変なことは「遺産相続に関して」だと言われています。「遺産相続の手続き」については、遺族がいる場合も、「おひとり様」の場合もとても大切なものです。

このことこそ、自分が死ぬとき、または親が死ぬときに取り組むべき「終活」の柱かもしれません。遺産相続についてはいくつか事例を挙げて紹介いたします。

遺書があっても、正式に認められない場合もある

遺書には「公正証書遺書」と「自筆証言遺書」があります。「公正証書遺書」は手間とお金がかかりますが、正式なものとして認められるので法的効力があります。

しかし「自筆証言遺書」は、いつでも書けてお金もかかりませんが、書き方を間違えて無効になることがあります。

せっかく親が遺書を残しても、気持ちは受け取れますが、法的効力がないため、もめ事が起きたときに大変になり、遺書があるのに「遺産分割協議書」を作成しなければならなくなる場合もあります。

「遺産分割協議書」の作成は、相続人の合意が必要です。

遺書がなく法定相続で行う場合、遺産の相続人と相続分を確認しなければならない。

遺言書がない限り、相続人は法律で定められた優先順位と割合に応じられますので、相続人と相続分を確認する必要があります。事実婚、内縁関係、連れ子、非嫡出子など遺産が受け取れるのか受け取れないのかは法律で定められていますので、生前の親の知られざる過去をその時に知るということもあるそうです。

遺産相続をしない選択もあり。

相続には「単純承認」「相続放棄」「限定承認」の3つの選択肢があります。

財産より負債が多い場合は相続人が弁済をする必要があります。その際に相続が原因で苦境に立たないようにそれぞれの選択肢から決めることができます。

保険証券や通帳が見当たらないため、銀行や保険会社の手続きが大変

保険証券がとても古いものや、証券自体が見当たらないときは、通帳等の引き落としを確認するなどして保険会社に連絡しなければなりません。また自営等で取引ごとに通帳がある場合などは、その一つひとつに連絡をして、手続きをしなければなりません。そのため通帳がなければ、どこにどのくらいの資産があるのかを見つけるのにも時間がかかります。

いくつかの例をご紹介しましたが、「遺産相続」については、生前に準備をしておくことがとても大事です。

だからこそ、亡くなる前に親に「終活」の準備を薦めてもらう必要があるのです。

親に「終活」の準備を薦めましょう

「終活」という言葉が意識され始めたのは2009年 週刊朝日のコラムの中で使用されてからでした。その言葉が大きな反響をよんだことで若い世代からシニア世代まで「終活」を意識するようになったとも言えます。

現実的には「親の介護」「身近な人の死」「親の死」「葬儀の経験」などを通して関心が深まっていきます。また人生の節目や「定年」も「終活」を意識するきっかけになります。

最近では「医療・介護・死について」できるだけ「本人の気持ちを大切にする」ということが求められるようになってきました。そのため、「終活」を意識した時点で本人が始めることはもちろん、以下の準備が必要であることを親にも伝えて共に準備をしていけると良いでしょう。

  • 「医療、介護、葬儀、お墓などについての考えや思い」
  • 「資産や遺産相続等の考えや思い」
  • 「通帳や保険証券などの整理や見直し、その保管場所を決める」
  • 「持ち物の整理や片付け、遺品分け」

これらのものを、元気なうちに準備をすることで、親にとっても「自分の人生を振り返り、これからの生き方を考える」ことになります。

「終活」というとネガティブなイメージがあるかもしれませんが、実は、「終活」は親にとっても残される家族にとってもとても大切な取り組みなのです。

エンディングノート・遺言書のすすめ

自分の気持ちを伝えるために、家族での話し合いはもちろん、「エンディングノート」や「遺言書」などに書き留めておくこともできます。

エンディングノート

最近では、書店でも様々な「エンディングノート」が並べられており、自分にあったものを見つけることができますし、ネット等でも購入できます。子ども達から親へのプレゼントして、贈るのも終活への良いきっかけにもなるかも知れません。

「エンディングノート」は法的な拘束力はありませんが、形式にこだわらず書くこともできますし、書き直しも自由です。

個人的におすすめする「エンディングノート」は「自分の体について」「お金について」「自分の死に方について(死を迎えるときの希望)」が書き込めることは当然ですが、以下の項目も書き込める物だとさらに良いと思います。

  • 自分の生い立ちや人生を記入できるもの
  • 何歳になってもこれからしてみたいことや目標を書き込めることができるもの
  • 家族や周りの人に伝えたいことが残せるもの

遺言書

前項でも書きましたが、遺言書は、「遺産相続」についてあらかじめ決めることで、遺族の負担を減らし、もめ事を防ぐことができるものです。遺言書は「エンディングノート」とは違い法的拘束力があるので、相続手続きも楽になります。

遺言書については、必要な人と必要でない人がいるかもしれませんが、上記の事例などを読んでいただいた上で、自分には必要かどうか、一度調べてみるのも良いと思います。

まとめ

「親が亡くなった後の手続き」ということを中心に「資産や遺産相続について」を主に取り上げてみました。特に大切な人が亡くなった後の手続きについては、知識として確認しつつ市町村役場に相談することができますので、不安にならずに取り組んでいきましょう。

最後に前項で考えてきた「親にしてもらいたいこと」をあらためて確認します。

  • 「医療、介護、葬儀、お墓などについての考えや思い」
  • 「資産や遺産相続等の考えや思い」
  • 「通帳や保険証券などの整理や見直し、その保管場所を決める」
  • 「持ち物の整理や片付け、遺品分け」

上記の実現のために、元気なうちに親とよく話し合い、「終活」の準備を薦めてもらうこと、そしてできれば「エンディングノートの作成」や必要に応じて「遺言書の作成」も検討していただけたらと思います。

まずは、エンディングノートの購入から始めて意識改革を少しずつ進めて行きましょう。そして、残りの人生を豊かなものにするためにも、家族で前向きに「終活」について考え真剣に考えていきましょう。

最後まで読んでいただきありがとうございました。